JENNY

ジェニー

プロフィール

性 別 オス(セン馬)
誕生日 1989(昭和64)年1月1日
出身地 アメリカ合衆国
毛 色 パロミノ
種 類 クオーターホース

ストーリー

オスなのに、ジェニー?

 ジェニーは乗馬倶楽部イグレット創設当初からいる高齢馬で、2022年で33歳になりました。先代のオーナーが近くのウエスタン牧場で見つけ、一目惚れして買ってきた馬です。30年前の時代には、ほとんど見かけることがなかった、パロミノという珍しい毛色をしています。全身が黄色く、たてがみと尻尾は金髪。2歳の時にアメリカからやってきました。クオーターホースという、西部劇の映画でカウボーイが乗っている種類になります。
 オスですが、「ジェニー」という女の子のような名前が付きました。それはジェニーがイグレットに来た当時、ちょうどテレビで「風の中の少女 金髪のジェニー」というアニメが放送されていたことに由来します。当時、まだ子どもだった今のチーフ達が、ジェニーのたてがみの美しさに「ジェニーちゃんだ!」と名付けたのです。オスだということを後から知ったのですが、そのままジェニーという名前になりました。

いろいろな競技をこなした現役時代

 ジェニーは腰を悪くしたことをきっかけに、20歳くらいで引退しましたが、現役時代は、いろいろな競技をこなすマルチな馬でした。大きな馬の中では小柄な体格なので、小回りが効くため、主に障害飛越などのスピード競技をしていました。それ以外に、イグレットでウエスタンをしていた時期には、ジェニーはウエスタン競技にも出場。また、速歩がすごく乗りやすい馬だったので、初心者の練習の馬としても活躍しました。スポーティで器用なジェニーの背中で、乗馬に慣れた人も多くいます。イグレットのチーフインストラクターもその一人です。チーフが馬に乗り始めた子ども時代、馬が怖くて乗りたくないと思っていた時期がありました。ところがイグレットにきたジェニーは違いました。ジェニーと意思の疎通が出来、何をしたいかが伝わった感覚を体験。そこで初めて、馬って楽しいと感じることが出来たのです。
 そんなジェニーは競技会でも大人気。馬の見た目も重要なので、大会の時は、たてがみや尻尾をカットしたり、編んだりして出場することが多いのですが、ジェニーは遠くからでも目立つ派手さがあります。金髪のたてがみだけでなく、足は四本とも靴下を履いているかのように白い。さらに額から鼻筋にかけても白いラインが入っているのは、とても珍しいからです。写真を撮られることも多く、どこに行っても人気者でした。

馬が合う!? ジェニーと相性ピッタリな馬

 「馬が合う」という言葉があります。これは、馬と乗り手の呼吸がぴったり合うところから生まれた言葉ですが、人間同士の相性などにも使われています。同じように、馬同士でも相性の良し悪しがあるのでしょうか、引退後のジェニーは、ある馬と大の仲良しになりました。現役時代は、ほかの馬と連れ合うこともあまりなく、むしろ一匹オオカミのような雰囲気があったジェニーですが、引退後、集団で放牧をするようになったことで変化が生まれました。
 以前、リバティという若い馬がいた時のこと。リバティが大好きになったジェニーは、いつもそばを離れません。外が暗くなっても、リバティが馬房に戻らない時は、ジェニーもずっと待ちます。待っているからといって、急かすわけでもなく、怒るわけでもなく、ひたすら見守るのです。まるで、若者を見守るおじさんといった雰囲気がありました。どうしてリバティがお気に入りになったのか、理由はナゾですが、馬同士も人間と同じように相性があるのかもしれません。
 その後のジェニーは、2022年に亡くなった引退馬協会のハリマブライトが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。たとえば、ハリマブライトが手入れのために、馬房から出たりすると大変です。ジェニーも一緒に行こうと、自分の馬房の入口にかけてあるヒモを強硬突破て、ハリマブライトのところへ駆けつけます。ハリマの姿がみえないだけで、不安になって鳴くので、ハリマとジェニーの放牧はいつも一緒。とにかく自分が見守りたい!ハリマが大好きなジェニーです。そんな二頭の馬房は、隣同士でした。いつも一緒なので、イグレットでは老夫婦と呼ばれていました。ジェニーには、いつまでも長生きしてもらいたいものです。